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<羯南と古島一雄>(44) 私立大学評判記(その33)

 さらに古島の慶応義塾大学と早稲田大学の比較論が続く。

 「之れを以て一は自家の出身教師を中心として、外来の教師に待つ事少なく、一は天下の学者を羅致して、其後れざらんことを是れ力む。」

 ここでは両校の教員の調達に対する特色が出ている。慶応は自前で教員を育て、海外留学に出すなど彼らを中心に、常勤として教育に専念した。一方、早稲田は他大学や官僚から招いた非常勤の教員が中心であった。
 そして、古島はそのことが以下のような問題につながると批判する。          

 「慶応義塾は、塾風を重んじて時代と推移するを知らず、故に其弊や固陋に陥り易く、早稲田大学は、時代に順応して学風を作らんとす。故に其弊や散漫に失するを免れず。」

 慶応は自らの教育風土の中で教員を養成し、かつ日常生活も施設のなかで自己完結しているので、時代の流れに疎くなりがちであり、教育がひとりよがりになる恐れがある。一方、早稲田は時代の潮流に敏感すぎるため、教育の芯が定まらず、学問の本質が伝わらない危険性につながる。このように古島は言うのである。
また、両校それぞれに以下のような学生層の特色がある。

 「少数を以て維持せんと欲するものは、慶応義塾の学校経済策なり、故に勉めて富豪の子弟を招く。多数を以て維持せんと欲するものは、早稲田の経営策なり、故に貧富の差を問はず。」

 これは現代にも通じる特色である。2010年5月1日現在、それぞれの学部生全体の学生数は、慶応28,931人、早稲田44,066人である。早稲田が1.5倍である。慶応は3万人近い学生数であるが、今も少人数教育に重点を置いているし、裕福な階層が多いことも継続している。他方、早稲田は戦後、「マスプロ教育」という言葉を生み、大教室に多くの学生を詰め込んで教育してきた。また、慶応に比べれば学生の親の年収幅が大きい。(橘木俊詔『早稲田と慶応』講談社2008年)

 最後に古島の新聞人としての姿勢が出ている。

 「若し夫の一長一短、仔細に其得失を吟味するに至っては、先ず其各個の内容に就いて事実を観察せざるを得ず。読者諸君、見る所あらば幸に垂示を吝む勿れ。吾人は勉めて諸君と共に之を研究し、公平に之が判断を下さんことを期す。」

 古島は読者に対し一緒に事実を観察し、研究しようと呼びかける。現在の新聞の居丈高な論調とは異なる。実に謙虚である。現代のジャーナリズムにもこういう姿勢があってもいいのではないか。

 いしがみ
by kuga-katsunan | 2011-07-31 15:39 | その他
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明治を代表する言論人・ジャーナリストである陸羯南の足跡を追う          昭和後期~平成におけるマスコミ界のご意見番・青木彰の弟子達による記録
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