端午節の休みを利用して35年ぶりにペテルブルグとモスクワを回った。
前回は1982年の1月、まだソ連時代で、ブレジネフ末期、その後まさか
このような社会の変転をたどるとは夢にも思えない雰囲気であった。
フランクフルトまで、Panam(この飛行機会社もなくなってしまったが)
の西まわりで世界一周のチケット12万という超格安で、一周の途中でヨー
ロッパをうろついた。フランクフルトから東へ、ウイーン、ブダペスト
そして黒海が見たいという単純な理由でルーマニアの東はずれの街、
コンスタンツアまで辿りついた。
今考えると大胆だが、コンスタンツアに向かう列車で知り合った男性の
家に泊めてもらった。ルーマニアも社会主義という名前の独裁国家
チャウシェスク大統領の専横が極度に高まっていた時代。外人を勝手に
宿泊させる、というだけでスパイ行為を疑われるような社会で、その男性も
非常に大胆だったと思う。秘密警察の突然のチェックが入るからその時には
かくれてくれ(何語でお互い理解しあったか、こちらも不明)という話もあり
ドキドキの一泊だった。5歳位のジョルジュという男の子が、時ならぬ見る
からに違う来訪者に無邪気にはしゃいで可愛かったのを今も覚えている。
1月の黒海のくらく荒れた海面を見て、首都のブカレストに戻った。
たかぎ