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<羯南と古島一雄>(45) 私立大学評判記(その34)

 今回から明治36年(1903年)11月15日の「(十三)慶応義塾の沿革(上)」に入る。今後しばらく慶応が取り上げられ、その実態が詳細に紹介されていく。日本で最初の私立大学である慶応が分析されることで、明治という激動の時代をどう生き抜いてきたかが浮かび上がることになるだろう。

 その前に、今回は歴史の教訓について考えてみたい。これまで古島一雄によって、慶応や早稲田大学をはじめとする私大や東京帝国大学の“評判”が取り上げられ、当時の様子が生き生きと伝えられてきた。

 東京帝大は官吏養成機関として誕生し、その地位を守るべく私大を差別し、法的に専門学校と位置づけ、劣った地位におとしめていた。しかし、私大も高文官試験や就職で実績を出していき、明治も中期となり進学希望者が増加すると、彼らの受け入れ先として注目されるようになった。徴兵猶予の特権も有利に働いた。

 また、各私大は開設の背景から教育内容に至るまで、おのおの特徴を持っていた。それは、時代の変化に対応する必要から創意工夫を重ねて行った結果でもある。

 ところで、現在の日本は、未曾有の東日本大震災から半年がたとうとしている。政治の混乱の影響で復興が思うように進んでいないようだ。周知のように原発事故が大きく絡んでいる。その最大の原因が“想定外”という発想であった。歴史を顧みず10メートル超える津波は起こり得ないと思い込んだ。政治家、官僚、学者、企業ばかりでなく、マスコミまでが一体となって原発を擁護したのである。実はこの考え方は現代に限ったことではない。

 作家の半藤一利によれば、第二次世界大戦の敗戦の原因も同様であったという。昭和の海軍は日露戦争による成功体験によって、大艦巨砲主義、艦隊決戦主義にとらわれた。時代は既に航空機による空中戦に移っていたというのに、この変化を“想定“しなかった。日本人は安定の時代を迎えると、この発想に取りつかれてしまうようだ。歴史の教訓が生かされず、知らず知らずのうちに繰り返してしまうのである。

 現在、大学の置かれている環境が厳しい。4年制大学の4割が定員割れである。今こそ歴史から学ぶことが多いのではないだろうか。大学関係者が想定外としてきたことはなかっただろうか。その意味で、この古島の「私立大学評判記」は現在へ大きなヒントを与えてくれるだろう。

 いしがみ
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by kuga-katsunan | 2011-08-30 18:48 | その他 | Comments(0)
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明治を代表する言論人・ジャーナリストである陸羯南の足跡を追う          昭和後期~平成におけるマスコミ界のご意見番・青木彰の弟子達による記録
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